職業柄、女性誌にも目を通すようにしている(最近では女性もあまり読まないらしいが)が、これが割と苦行である。意外にもファッションは言葉づかいが独特(マニッシュはメンズライクでハンサムで男前でnot甘めな感じ)で割と楽しめるが、ライフスタイル系がしんどい。十年一日、テーマは「時短」「○○収納」「つくりおき」。ほんま、ええかげんにしなさい。
コロナ禍で社会が一変したにもかかわらず、いまだに「時短レシピ」「つくりおきレシピ」「ちょい足しレシピ」だ。だいたいの女性誌が想定するメイン購読者層は都市部に住むミドルアッパー層なのだから、テレワークによる在宅勤務に入っている。今こそ「じっくり手料理」を提案すべきではないのか。時短時短じゃどんどん食もココロも貧しくなるばかりである。
「小枝的小技」は、もういらない。
同じテーマを5年も10年もこすってるもんだから、どんどんテーマはミクロ化していく。収納なんて「見せる収納/隠す収納」だけでいいのに、どんどん細分化してある月は「ラベル収納専門家」を集めて特集、とか。普段NHKスペシャルなどでナノレベルの映像世界に感動している私たちは、ラベル収納レベルの細かさでは中途半端すぎて正直どうでもいい。
料理にしても収納法にしても健康法にしても、枝葉末節を見せればたしかに具体的になるが、原理原則がわからないと応用ができない。応用できてこそはじめてクリエイティブなワクワクを感じられるのであり、細かい指示書通りに行った行為は単なる作業でしかない。
メディアのアジェンダ設定能力が追いついてない
思うに、(これは男性側からの無邪気な違和感なのだが)女性誌は分厚すぎるのではないか。先月より今月の私が少し素敵に生きるために、果たして300ページもいるのだろうか。男性の私でも重すぎて持っては読めない。毎月300ページを埋めるためには、編集部内はさぞかし戦場であろう。
そもそも「紙面を埋める」のは誰のためだろうか。本当に300ページも必要だろうか。大きすぎるから、最近はスモール版も発刊されているが、そういう問題ではないだろう。そりゃあ時代が変わっても「時短時短時短!」「つくりおきつくりおきつくりおき!」になるはずだ。
アトリエライフ通信は、物量戦争の果ての前時代的な刊行期ベースの発信ではなく、アジェンダが固まり次第、オンデマンドで出していく。締め切りなんて、本来読者には関係ないのだから。