負に賭けるより、未来への投資。終身保険という名の「終身刑」に注意せよ

この世の中には明らかにおかしいのに、提供者側の都合で存在し続けているサービスが結構ある。以前登場した「世の中をフクザツにする困ったサービスたち」だ。クソ商品×数打ちゃ当たる型の営業攻勢(社会の迷惑です)によって存続し続けているのだが、そもそもその商品を存続させなければならない理由は「その商品を売るために抱えた営業マンの人件費を賄うため」であるという・・こうなりゃもはやエクセルの循環参照エラー状態だ。中でも多量の人員を抱えるがゆえに、本来超絶シンプルで済むはずの商品が無限増殖している業界、それが保険業界である。

終身保険という謎の商品

中でも最も意味が分からない商品が「終身保険」である。定年まで毎年数万円積み立てて、定年後に運用益付きで全額戻ってくるというもの。仮に定年前に地球を卒業する事態になった場合は、ちょっと豪華な卒業式ができるくらいの保険金が入る設計だ。私が過去に営業を受けた保険会社の終身保険は、定年まで積み立てたら6%ほど運用益が出るというシミュレーションになっていた(これも保証ではない)。たしか毎月2.5万円を33年間=合計1,000万円積み立てて運用益が6%想定だから60万円プラスされて戻ってくるという商品だ。銀行に預けていれば利子は数千円程度のところ、60万円も増えればいいじゃないか(葬式手当もついてるし)と金融知識の全くなかった若かりし私は思ったが、全く金融知識もないままに契約するのも不安だったので見送った(←ナイスプレーだ!by今の自分)。

33年で6%とは、今から考えるととんでもないデタラメ商品だ。普通に資産運用をすれば、最低限の基準は1年で6%だろう。だいたい何も考えずに米国インデックス投信と日本の国債インデックス投信を半分ずつ買っても、1年で平均3-6%は伸びる。年利6%で運用すれば、複利で資産は積みあがっていくのでだいたい12年で2倍になる。そして次の12年は2倍になった資産が元手になるので当初の3-4倍になる。33年だからさらにあと9年分も積み立てて・・・やっと60万円ですか。。差額の3,000-4,000万円は保険会社が「あざーす!」するというわけだ。これでは自分のための積み立てではなく、保険会社の積立投資の原資をこっちが代わりに毎月コツコツと積み立ててあげているということではないか。

見えないが厳然と存在するリスク

この終身保険の場合、2つの「見えないリスク」がある。1つは途中解約だ。仮に3年で90万円積み立てた段階で「ちょっと野暮用で解約します」と言った場合、なぜか90万円まるまるは戻ってこず、75万円くらいに減額してしまうのだという(意味がわからない)。株式投資にもリスクはもちろんあるが、90万円のものが75万円に「確実に」減るという事実こそ、圧倒的なリスクである。不確実な時代(VUCA)なのだから、3年後積み立て続けられる保証など何もないではないか。

もう1つのリスクは機会損失のリスクだ。毎月2.5万円を拠出するということは、普通の会社員なら現実的にその他の資産運用に回せる余地はほとんどなくなる。本来何も考えずにやっても6%以上を複利で増やせる機会を、毎月失い続けるということだ。本来享受できることを、やらないことによって失うこと。これもリスクなのだ。

もし既に終身保険に入ってしまっていたら、一冊わかりやすい資産運用の本を買って読んでみるべきだ。結果おそらく終身保険はおろか、生命保険も学資保険も全て解約することになるだろう。最初にとるリスクは、終身保険の解約違約金だ。10-20%くらいと思われるが、まあそれからの積み立てを考えれば安いものだ。そして次に、改めて健全なリスクを取る「新生活」をスタートさせましょう。

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