仕事の邪魔を仕事にする人たち。生産性問題の最大の容疑者「やぶさか爺さん」

以前の記事で広告代理店の営業は究極の無形営業であると書いた。企画や心理変容など、最初から最後まで目に見えないものを扱い、ひとつずつ納品してお金に変えていく。そんな仕事を回していく中で最大の敵が、社内にも社外にもいるひょうたんナマズ的な存在だ。相談してもYESともNOとも言わず、一旦任せて一週間経っても「何も進めていない」。本当に頼りにならないどころか、はっきりいって仕事の邪魔だ。

そんな人たちの口グセのひとつが「やぶさかではない」だ。相談したら「自分としてはやぶさかではないが・・」と前例を盾にふんわりと却下してくる。その人がゲートになっているから、相談せざるを得ないことをいいことに、要は仕事をサボっているわけだ。後ろから手を回すとすんなり通ることがほとんど。そんな人たちのことを僕は「やぶさか爺さん」と呼んで警戒していた。本当に何も生み出さない種類の人たち。花咲か爺さんの宿敵はきっとやぶさか爺さんだろう。隣から散々邪魔しておきながら、咲いた花の恩恵はちゃっかり受ける。

仕事の基本は「前に進めること」

広告代理店の場合、1~3年目くらいの若手営業がまず最初に身に着けるべきことは「とにかく前に進めること」だ。仕事に悩む新人の皆さんはこのことを意識してみるといいだろう。一気に「3年目っぽく見える」ようになる。クリエイティブディレクターのあのマーヴェラスな切り口と、得意先の部長が打ち合わせ中にポロリとつぶやいたあの一言とオリエン情報等を、自ら行間を埋めながらひとつの企画に統合していく。この作業は誠に編集的なものだ。そして整理した叩き台をもとに、ひとつひとつ企画を「確定」させていく。

代理店の真骨頂は「不可能を可能にすること」

とにかく「前に進める」ことができるようになったら、ひとまずは「独り立ちできた」と呼ばれる状態になる。しかしそれだけでは充分ではない。その先「一人前」になるには、もう一つ階段をのぼる必要がある。それが「不可能を可能にすること」だ。誰でもできることなら、クライアントはわざわざ外に相談しない。目的を達成するための方法がわからないから、代理店に相談するのだ。

だいたいの相談内容は「予算3,000万円しかないが2億円分のレスポンスをとらねばならない。どうしたらいいだろうか?」というようなムリゲーなものが基本だ。そのムリゲーをあらゆる知恵と人脈を使って可能にする、その仕事の基本姿勢が身に着いたらようやく一人前だ。冒頭のやぶさか爺さんは「前に進めもしない」し「不可能なものは不可能なまま」の人たちだ。前例はなくても、なんとかひっくり返すのが人間が介在する意味であって、前例を踏襲するだけの人間は機械で充分。次会ったら公務執行妨害でタイホしてやる

やぶさか爺さん
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