“先に納品してしまう”プレゼン術。広告業界に必要なプロトタイプ思考とは

広告営業の仕事とは、一言でいうと「究極の無形商材営業」だ。コンセプトや表現、メディア枠、さらには「スタッフの機嫌」まで、受注前から納品後まで終始一貫無形物を扱う。唯一有形物っぽい完パケ素材はあくまで「中間納品物」であり、最終成果物である「消費者の心理変容」はやはり目には見えない。

無形商材営業のジレンマ

ここで難しいのが、受注に至る提案物に関してはガッツリとコストが発生することだ。なぜか例外なく、ここだけは有形だ。提案で負ければ全て赤字となる。マスメディア全盛の時代であれば、一度の受注で全部チャラにできるほど利益も上がっていたが、広告予算が事業部付けとなると同時にデジタルシフトが進み、一受注の単価が数百万円レベルになった今はこの提案コストはシビアな問題になってきている。案件を獲るためには数十万円単位のプレ費をかけねばならないが、負けた分はまるまるコストとなる。気づけば、負けたコストを取り返すために働いている。完全なジレンマだ。

この場合の構造的な問題は、ビジネス環境が変化しているのに案件獲得の方法が旧態依然のままであることに起因している。事業部化・デジタル化によって案件はより細かくなり、各案件の予算規模は以前の1/10となっている。そこにいちいち過剰なコストをかけていることが問題なのだ。

解決策は、IT業界の仕事のやり方に合わせ、一発プレゼン型ではなくプロトタイプ型にすることだ。相談を受けたら「営業自身が」仮案を作成し、速攻でぶつけに行き、フィードバックを元に「営業自身が」速攻で直して持っていく。競合が週次で改善するところを、隔日で詰めていく。すると、気づけば実質案件化している状態になる。

“先に納品してしまう”プレゼンスタイル。

例えばYouTubeの動画提案なら、画コンテ代に何万円もかけるのではなく動画制作ツールを使って自分でイメージ素材を仮編集して持っていく。具体的なフィードバックをもらえたら受注まではあと少し。あとは速攻で修正して持っていく、を数度繰り返せば受注できるだろう。事業部担当者も本業は広告宣伝ではないので、画コンテよりもその方が理解しやすいし、そのまま見せるだけで社内説明が完了する。サービスとはこういうものだ。

これからの時代に大事なのはリーン&スピーディに仕事を進めるスタイル転換はもちろんのこと、自身でアウトプットイメージを固められる「納品力」だ。クライアントの社内は既にそのスタイルで仕事をしていることが多いので「中途半端なモノを提出しては・・」などと気兼ねする必要はない。むしろ何週間も待たされて満を持して大勢のスタッフを引き連れてトンチンカンな大作を持ってこられた時の方が、申し訳ないやら会議室とれねーわ(←ココ大事)でよっぽど困らせてしまう。

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