ライフスタイルメディアにいた頃、担当するほとんどは大手企業の「誰もが知るブランド」だった。ある時先方の本部長が「こういうメディアに出さないといけないのはわかっているんだけど、読者は既にうちを知ってますよね」と腑に落ちない様子であった。
しかしそれは否定したいわけでなく、納得できる出稿理由を求めているという感じだったので、「認知ではなく認識、つまり○○というブランドの捉えなおしを図るということではないでしょうか」と提案したところ、パッと表情が変わって発注、どころか隔月のレギュラー発注をいただいたことがある。
まずは、「認知」という言葉の認識の更新を。
個人的には広告業務において頻繁に使われる「認知」という言葉こそ、まず最初に捉えなおされるべきだと思っている。一般に広告目的における「認知」という時、AIDMAからAISAS文脈にシフトする中でそれは、アクイジション(刈り取り)の前段階である、という意味あいで使われることが多くなってきている。
つまり認知という時、認知率といわれる「知名度」の意味と、ブランドベネフィットの適切な理解による「好意度」の二層の意味が包含されているにもかかわらず、語感の影響で前者の意味に引っ張られるために関係者の間で認識の齟齬が起きることが多いのだ。
今こそ、ブランドを語りなおそう
冒頭のクライアントに提案したのは「モノ消費文脈からコト消費文脈への、ブランドの語りなおし」である。それまでチラシによる「商品×値段」による訴求だったところを、「新しいアイテムが、新しいライフスタイルを連れてくる」というタグラインを軸とするスタイル提案型のコミュニケーションに変えていくことを提案したのだ。
消費者の価値観が大きく変わる中、ブランドは既存の認識(パーセプション)を書き換えることでリフレッシュを図る必要がある。そのためには刷り込み重視のテレビCMではなく、捉えなおしを促すコンテンツアプローチが有効だ。アトリエライフ通信は、この捉えなおし(パーセプションの更新)体験を提供するメディアである。