揺れるまなざし。Webメディアの語り口は、映画的かドラマ的か

映画とドラマの違いって、何だろうか。ズバリ、映画や雑誌や新聞は観られる/読まれる前提で作られている、ということだ。なぜなら受け手がわざわざお金を払っているから。だからこそ表現的なチャレンジができるし、新しい表現領域の開拓ができる。長〜い前フリだって許される(ちゃんと回収すれば)。

対してドラマはノンペイドなアテンションなので、移ろいゆく視聴者の関心を一瞬でも逃すまいとあの手この手のサービスを入れる必要がある(疲れてるときはドラマに限る)。それは広告全般も同じ。実際、広告情報の99%は無視されるから、残りの1%に入ろうと作り手の全知全能が注がれる。

Webメディアも同じである。

おそらくWebメディアの書き手の99%はこのことを意識していない。自分の書いたテキストは当然受け手は読むものと思い、雑誌の仕事と同じノリで書いている。だが、ペイドアテンションのノリの言葉は、ノンペイドの受け手には響かない。リアルでの人間同士の会話にTPOや距離感があるように、メディアコミュニケーションにおいてもそれは当然あるのだ。

艶女(アデージョ)とかおしゃPとかTNJ女子とか、女性誌が打ち出すキーワードは、基本的にお金払って毎号買って読んでくれる人向けの「内輪ノリ」において爆発力を生む言葉であって、興味のない人を振り向かせるためのものではない。広告クリエイティブの提案で「おしゃP」なんて持っていこうものなら、一発退場だ。

揺れるまなざしを、90秒だけ射止める。

Webメディアのテキストは、ながら見程度の集中力で見られるもの。テレビを見たりスマホを覗いたりと、比較的散漫な集中力の受け手に対して、あの手この手で興味を持ってもらう工夫をする。なので実はWebメディアには、広告畑の書き手が向いていると思う。

前回記事の通り、視線がとまったとしてもMAX90秒だ。ちょうどテレビのCM枠は90-120秒ブロックになっているので、CMチャンスに開いてもらう習慣をつけるのにも90秒サイズのコンテンツは都合がよい。

公式Twitterをフォローして、最新情報をチェック!