広告・マーケティングを考える時、私たちは必ず今のキブンやトレンドを意識する。だが、それを纏っているのは「生き物としてのニンゲン」だ。表層にとらわれてその根っこにある習性や普遍的なクセを見逃せばいつまでたっても芯を喰った企画は生まれない。
「ヒトはどのような生き物か」を捉えなおすことが、マーケの基礎体力を養うことになる。理性ではなく、その奥底に働く潜在意識に働きかけていくことで強く継続的な行動変容につながる。その理解はまた、自分自身の人生を歩む上においても重要な示唆をもたらしてくれるだろう。
というわけで、様々なアングルから「ヒトは◯◯な生き物」を特定していくホモサピ研究をはじめたい。
ヒトは、変われない生き物である。
まず最初のテーマはこれ。変われない、というか本当は「変わりたくない」が正しいのかも。ウヨクvsサヨク=保守vs革新という図式があるが、本来ヒトは保守的。だから奮起して鉢巻きまいて「いまこそ改革を!」叫ばなければならないのだ。
根底には生き物としてのヒトに備わる恒常性維持機能(ホメオスタシス)がある。要するに「変にチャレンジして死なないため」のブレーキ。昨日までこのやり方で食いつないできたのなら、明日以降もそれを続けたほうが「確実」だ、ということ。これは荒野で人類が命を繋いできた大事な機能だけど「現状維持は後退」の現代社会においてはロック解除が必要。
「ヒトは、変われない生き物」を秒で自分ゴト化するデータ
最近流行りの行動経済学や進化生物学的に喝破されると「わかりみが深い!」が、それだけではその感慨と自分の毎日とは接続されない。それを一気に自分ゴト化させるには人類2億年のデータではなく、一個人の人生単位のデータの切り出しが必要になる。誰もが絶妙に「思い当たる節」を突くことが鍵だ。
「誰もが絶妙に思い当たる節を突く」のに最強なのが学校ネタ。ここは分断が進む現代社会において、唯一といっていい分厚い共感の地盤。ビッタビタの鉄板の地盤だ。学校時代の「ちょっと懐かしい憂鬱」をリマインドさせ、それを「今の課題」と大胆に接続することで「!!」の大量生産が可能になる。
そのようなアプローチで最近面白かったのが「会議ギリギリに準備するビジネスパーソンは、夏休みの宿題もギリギリだった」というコーチングカンパニー(株)ミズカラの調査リリースだ(なぜ知っているかというと、筆者=筆者だからなのだが)。
働くパパママ世代に対し「会議資料はいつ準備完了しますか?」と質問したところ、学生の頃、最終週に駆け込みで夏休みの宿題を片づけ(やっつけ?)ていた人は、1週目から計画的にコツコツやっていた人と比べて「会議前ギリギリに準備する」割合が8.3倍という結果に(23.3% vs 2.8%)。今バタバタと宿題をしている子ども達は、このままだと会社に入ってもバタバタと仕事に追われることになるかも・・という内容。

夏休みの宿題ギリギリ派の人は「これまでもなんとか間に合ったから」という危うい成功体験(?)を持ってしまっている。それが無意識の習慣となり社会人になっても会議直前まで資料づくりをする。資料のクオリティの頂点ではなく「会議の開始時間」が照準となっているので、当然仕事にもムラが生じる。
たかだか学校の宿題、と侮るなかれ。この時期に「凌ぎ癖」をつけてしまうと、なかなかそのパターンから抜け出せなくなる。このリリースではそれを実証するデータも切り出して畳みかけてくる。なかなかにインパクトが強かったとみえて、IT media NEWS、Forbes JAPANで記事として紹介されたのをはじめ、YAHOO!ニュースや地上波テレビ、TOKYO FMなどでも取りあげられた。
8割の人は、時間配分の悪いクセを直せない
私たちは一度身につけてしまった「ギリギリ癖」を直せるのか?それを検証するため「これまでの人生で時間配分のクセについて改善しようとしたことはありますか?」と聞いてみたところ、改善に成功したと回答した人はたったの21.2%。残りの8割の人は、人生を通して時間配分の悪いクセを直せていないことが明らかに。「人は、変われない。」これは、タイムスケジューリングの側面からも事実といえそうだ。

卒業しても「宿題」は残り続ける
学生から社会人になって、一番嬉しいことの一つは「宿題がない」こと。残業や休日出社はあるにせよ、学校の卒業と同時に私たちは晴れて「宿題」からも卒業できる。しかし尾崎豊が「卒業して一体何解るというのか」と歌ったように本質は変わらず、学生時代に積み残した悪癖も残り続ける。
同年代と学校空間の中で共に過ごす時間の中で、自分の長所や短所、悪癖は徐々に浮き彫りになってくる。卒業や就職といった人生の区切りでうやむやになるが、それらが自然消滅することはない。そしてこれこそが、本当の「宿題」なのかもしれない。人はいつかのタイミングで「決断」して、具体的に変わる努力をした時にはじめて変われる。自らの悪癖と向き合い、意志と具体策をもって改善した時、晴れて「卒業」し、そして大人になれるのではないではないだろうか。
ヒトの遺伝子は、紀元の境目であるキリストの頃はもちろん、洞窟に壁画を描いていた時代からほとんど進化していない。文明のゆりかごによって脳の容積が小さくなるなど、見方によってはむしろ退化すらしているという。ただでさえ形質を一世代継承するのに[…]
大学で何を学ぶか?これは人によって答えは100通りある問いだが、まず本質的な部分では「自分の興味分野を極める方法」を学ぶということがある。興味分野自体は長い人生の中でいずれ見つけるとして、いざ出会った時に極めていく姿勢を「教授」という人[…]
風呂の中で、空の向こうの、宇宙の向こうの、その先に広がる無限の空間のことを思うとき、いつも僕は自分の内なる風呂の栓を誤って抜いてしまったような感覚に襲われた。科学は日々この世界の謎を解明し、それを体系立てて大量に文明人に[…]