無視できない広告。思わず足を止めて見入ってしまう「駅シビション広告」の妙

都市部の駅構内は人流が最も多い場所。駅を展示会場に見立てる『駅シビション広告』はメッセージを臨場感高く伝えられる。わざわざどこかに出かけなくても「移動のついでに見られる」のでタイパやコスパもよく、体験価値も高い。コストはかかるが、展示会の会場&設営・撤去&集客コストと相殺できる。

広告は「足を止めて観るもの」ではないが、展示会という文脈を使えばそれが「足を止めて観るもの」へと転化する。さらに作品の意図を深読みしたりアレコレ考察したりと広告が目指す深い関与が自然に生まれる。そして自分なりの視点を見つけたら他人に語りたくなるのでナラティブやSNSシェアが発生する

思わず足を止めて見入ってしまう「駅シビション広告」の実例

事例①:名画をズラして展示する

磁気健康ギア「Colantotte」は地下鉄新宿駅構内で「ホントはみんな肩コリ展」を掲出。「モナリザ」「真珠の耳飾りの少女」「ゴッホ自画像」などおなじみの肖像画が肩凝りしている様子を美術展告知風に掲示。よく知っている絵画をアレンジすることでギャップを演出。忙しい師走でも足を止めてもらう工夫。

情報は0→1で受け取るには理解コストがかかるので、誰もが知る前提知識をベースにした方が速い。「ホントはみんな肩コリ展」はおなじみの名画をズラして見せることで興味の立ち上がりもメッセージ理解も一瞬。捉えなおしが強いのも前提知識・意識を活用するから。

事例②:「ペイン」を展示する

生活者動線上にて展示をする「どこでも展示会」は最強のブランド体験装置。エスエス製薬「EVE」は大阪駅前地下道で「超酷な姿勢展」を開催。パフォーマーがスマホ操作や前傾パソコンなど肩こりしやすい「長時間の同一姿勢」を彫像パフォーマンスで表現。コインを入れると肩こりで辛そうな仕草をみせる。

「超酷な姿勢展」は路上のスタチューパフォーマンスの文脈を応用している。銅像のごとくピクリとも動かない大道芸人は「動かないこと」そのものが芸なので、思わず足を止めて見入ってしまう。そしてコインを入れれば動くという共通認識を使ってうまく「関与」を引き出している。

事例③:肌トラブルとエンカウンターさせる

臨場感メディアとしてのOOHの特性を上手く活用している資生堂アクアレーベルの事例。乾燥によるシワが気になる冬に『しわしわ』『ヨレヨレ』『ゴワゴワ』『ザラザラ』という4つの“しわ”オノマトペを、立体的なテクスチャで表現し、渋谷となんば駅に掲出。遠目には白壁、近づくと陰影が浮き出る仕掛け

駅ナカにいる人は基本的にどこかに向かって動いている。その動きに合わせて表現が立ち現れるアクアレーベルの演出はまさに臨場感の極み。気づけば目の前に「肌トラブル」が出現している、という体験はRPGのエンカウンター型敵演出のように「退治」あるいは「対峙」すべきものとして捉えなおされる。

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