「とりあえずデザイン」禁止令。これしかない「解」を導く超・言語化力の活用法

マーケ現場の「なんか違う」は、一歩目の踏み出しの弱さ=言語的整理の不足が原因。まずはコトバで太い骨格を通した上で(STEP①)、デザインによってそれを肉付けする(STEP②)のが基本だが「それっぽいが何も言ってない未完成なコトバ」をベースに作業を進めることが多い。

デザインは整理する手段ではなく、整理した概念を見える化するものだ。芯を食ってない骨格にどれだけベタベタ肉付けしても命は宿らないので、この場合は本来STEP①のコトバの再設計に立ち戻るべきなのだが、多くの場合見た目のPDCAに終始する(そして迷走してどこにも辿りつかない)。

▶「それっぽいが何も言ってない」ChatGPT作成のコピーの”激辛”添削例はコチラ

デザインは2次元、コトバは3次元

二律背反や矛盾を抱えた複雑な要素が全て収束する「奇跡の一点」を見つけ出し、そこにタグラインという旗を立てる。タグラインを基点に全てのブランド活動がダイナミックに動き始める。それができるのは3次元で意味を整理できるコトバだけ。言語的整理をおざなりにしたまま「とりあえずデザイン」でカタチになった感を得ても、モノゴトは一向に進まない。

本来はあらゆるビジネス活動の基点となるコトバ(=コピー)だが、有効に使われているケースは少ない。ほとんどの場合、お洒落料理のパセリのようにデザインの添え物扱いされてしまっている。だが、コピーはデザインの修飾語ではない

コピーの本来の役割とは、諸相の問題を3次元的に同時に解くことだ。具体例を挙げると、弊社が手がけた淡路ビーフのブランドタグライン「いい味だしてる。」は一行で物性×キャラ×ミームの3層の機能を果たすコトバになっている。

【1層目】味覚表現:美味い!と言わずに独自のおいしさを表現
【2層目】ブランドパーソナリティの打ち出し:今後のブランディング推進の依代となる「パーソナリティ」を形成
【3層目】情報ミーム:一緒に食べる家族や仲間と思わず言い合いたくなる=購買行動喚起のフックも取り付けている

いいコピーは、思わずやってみたくなる性質がある。

優れたコピーの特性とは、一行でパッとイメージが拡がる「画よりもビジュアルなコトバ」であったり、複数の課題を同時に解決している「これしかない解」だったりといくつも条件は挙げられるが、購買行動の喚起という目的論に照らせば「思わずやってみたくなる」ということが一番だろう。

具体的なイメージを持ってもらうために、私の過去執筆実例を紐解きながら説明する。まず子育て用デジタル一眼カメラ(canon/EOS KISS)の案件を手がけた際のコピーは、

▶撮影することは、子育てのまなざしを残すこと。

スマホでも充分キレイな写真が撮れる今、それでもやっぱり子育て写真はカメラで撮りたい、と思ってもらうための気づきを促すアプローチ。一眼だと子どもに寄って撮ると迫力が出るので、記録ではなく記憶が残る。それは一番かわいい頃の子どもの姿を素敵に残すということであると同時に、子育てしている親自身のまなざしを残していくことでもあるのだという気づきを含ませ、動機を倍増させて行動を喚起。

▶ベランダへ、おでかけしよう。

こちらはイオンのおうちキャンプグッズ案件で書いたコピー。リビングやベランダのインテリアにアウトドアテイストを取り入れるだけで、家族のモードが変わる。わざわざ遠くに出かけなくても、家の中で家族の思い出となる濃密な時間を作れる。そんなスタイル提案型のアプローチ。

▶選ぶ愉しみも、プレゼント。

こちらも同じくイオンの選べるギフトセットのコピー。贈り物とは「モノに想いをのせて贈るもの」なので、選べるギフトセットでは何かマゴコロが足りない気がする・・でも何を贈れば喜んでくれるかわからずに不安(失敗したくない!)。という気持ちに対して、贈られる側のメリットである「選ぶ愉しみが増える」ことに気づかせることで行動を後押しするアプローチ。

▶お部屋に木漏れ日をつくろう。

IKEAの夏の涼感インテリアシリーズのコピーです。接触冷感などに加えてグリーンや風鈴などの「涼感演出」もセットで涼しい部屋をつくるというグッズを思わず取り入れたくなるアプローチとして、吊り下げグリーンと間接照明を活用した「木漏れ日演出」を提案。

このように、現代におけるコピーの役割とは「モノそのもの」の説明ではなく、「モノ×ヒト=コト」というイメージをワンセットで鮮烈に提示することで自分の人生に必要なアイテムとして受け取ってもらうための気づきを与えること。ここで必要になる作業はよくある機能ベネフィット訴求のレベルから情緒&自己実現ベネフィットへと認識を展開させる意味論的な「翻訳」だ。

その他のコピー実例はコチラ

ロジックの積み上げを「昇華」させるのがコトバのクリエイティブ

デザイン同様、ロジックも2次元なので論理を積み上げていくといずれ行き詰まる。一定の抽象度を超えるとだいたいは一般論となるし、他社と同じような結論になる。ここでさらにロジックを積んでも「しかしなにもおこらなかった」となる。

この平面的なロジックの行き詰まりに「高さ」という新たな軸を持ち込めるのがクリエイティブジャンプ。タテヨコだと離れていた概念同士が斜め上から観ると一つになる。論理を土台に、大胆に昇華させることで絶妙の斜め上アングル=「これしかない解」まで一気にワープさせ、観たことのない景色まで連れていってくれる。

クリエイティブ力の鍛え方

情報化が進みあらゆる場面で言語化が求められる今、コトバによる3次元的解決力は広告原稿だけでなくあらゆるビジネスシーンに有効である。いまやコピーライティングスキルは「全ビジネスパーソンの必修科目である」という認識から、昨年マーケティングメディアferretにて全20回のコピーライティング講座の連載を持った。

興味のある方は是非全てに目を通していただきたいが、自分のクリエイティブ力を伸ばすための方法に絞って話をするとその方法論は大きく2ステップにわかれる。まずは過去の名作コピーの写経や今回の案件についての情報収集をする大量インプットの段階。そして次にインプットした情報を基に実際にクリエイティブジャンプを生み「これしかない解」を得るアウトプットの段階だ。それぞれについては以下の記事に詳しく方法をまとめている。

▶基礎トレ法:新年の構想を練る前に要チェック。広告コピーの「秘伝の修行法」とは
▶インプット法:「ひらめき体質」は作れる!実は型化されている打開策としてのアイデア創出法を実践
▶アウトプット法:「体質」としての創造性を身につける。集めた情報断片を価値に変換するプロセスとは

クリエイティブ力は鍛えることができる、とはいえ脳内に新しい回路を構築する作業になるので一朝一夕にできるわけではない。大手代理店でクリエイティブ局に配属されるような優秀な人材でもクリエイティブジャンプを安定的に行うようになるには3-5年程度の修行が必要だ。そこで目下の言語化案件についてはアウトソースすることも有効な選択肢になる。

頼るなら「二刀流ライター」という選択肢

広告表現だけの相談であればコピーライターでよいが、前述の通り広報や採用、経営などビジネスシーンのあらゆる局面にわたってまるっと言語的整理をしたい場合は編集目線も併せ持った「二刀流ライター」に相談する方が手さばきよく解決してくれる。また広告代理店やコンサルなど支援会社側だけではなく、メディア事業部内の編集部など事業会社経験もある方が一般的な会社組織についての知見があるため話は通じやすい。

広告発想 × 編集視点 = 二刀流ライター

モノとヒトとの間の「意味」を創造するコピーライターは「哲学的クリエイティブ」。一方、世の中の様々な事象を見渡して論点をピックアップして読者に提示する編集は「目利きのクリエイティブ」。一見隣接しているようで、両者が交わることはほとんどない。

前者は縦方向の深堀り思考によって鋭利なコンセプトを切り出せるが広告制作以外の手際はよいとはいえない。後者は素早い水平思考によって情報の手さばきはよいのだが、掘りが浅いためコンセプトの打ち出しが弱い。別々に相談するのではなく、一人のニンゲンの中に2つの視点を持つ人に相談する(あるいは育成する)ことで、快刀乱麻を断つ言語的・概念的整理が可能になる。

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広告業界の大きな流れとして、2009年に出版された本田哲也さんの「戦略PR」が発端となり、PR施策による「お膳立て」の上で本キャンペーンを投下するという手法が一般化した。この流れの中で、お膳立ての肝である編集目線を持った広告クリエイターやブ[…]

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「二刀流ライター」の具体的なソリューション

①広告制作

通常の広告制作の相談はもちろんのこと、記事広告やコンテンツマーケティング、SNS運用なども手際よくやってくれる。具体的には・・
●世の中のメディア文脈を踏まえた上で、そこに順接or逆接させてエッジを立たせたメッセージ開発
●気づきを与える「!」型、あるいは考えるきっかけを与える「?」型のコピー開発
参考:「!」型広告と「?」型広告。直近の広告事例を紐解きながら2大アプローチのさじ加減を考察
参考:過去のコピー実例を見てみる

また、二刀流ライターとしての広告×編集発想以外に、広告代理店で12年間のプロデューサー経験と3つの事業会社における編集部/編集長業務経験を組み合わせると以下「◎」のようなことも支援可能です。

◎コミュニケーション戦略やメディアプランニング策定から表現提案まで一気通貫して設計する
◎メディア掲載から逆算した戦略PR的アプローチ(商品開発段階から関わりフックをプロダクトに埋め込むなども可能)

②メディアの企画・運営

トラフィックだけでなく、読者の「態度変容」を促す強いコンテンツを軸とした(オウンド)メディア運営が可能。具体的には・・
●(オウンド)メディア編集部を外注する際の「外付け編集長」として企画・運営を委託する
●1本の記事で読者を態度変容させるコンテンツの文脈づくり(記事広告制作やLPなど)
参考:平均で通常のライターの5倍のアクションがとれる広告×編集発想のライティング術の連載

◎メディアをマネタイズするための広告ビジネスコンサルティング(媒体資料監修/営業戦略/インナー・アウターのPR戦略など)
◎スポンサー案件のサポートおよびディレクション(広告オリエン/営業同行など)
◎メディアが抱えるブランド同士を「コンセプト」で繋いでコラボ展開をプロデュース(コラボ商品づくりなど)

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③SNSの企画・運営

コピーライティングスキルを活かしたエッジの効いた投稿を軸にブランディングを実行。具体的には・・
●1投稿ごとに受け手の認識を更新し、インスパイアリングなブランドとしてThought Leadershipを醸成していくX(旧Twitter)投稿制作
●複数の投稿を組み合わせて一本のnote記事にするなどコンテンツをマルチユースして積み重ねていく展開
参考:SNSを活用したインスピレーションマーケティングとは

④コンサルティング

社内に適任が少ない「言語化/コピー」スキルの指導役などを請け負います。具体的には・・
●マーケチームのコピー監修・クリエイティブディレクション
●事業部メンバーの言語化スキル向上・コピー講座・教材制作(ホワイトペーパーなど)
▶参考:マーケティングメディアferretのコピーライティング講座連載内容(全20講座)

⑤企業経営~採用広報

昨今重要性が増している経営理念の策定支援。額縁に入るお題目ではなく、社員のココロにインストールされるコトバを策定。具体的には・・
●パーパスやMVV(ミッション/ビジョン/バリュー)、およびスローガン・プロミスの策定
●リクルーティング支援:自社固有の「働きがい」の言語化(ex.Wantedlyなどの文言リライト)
●広報支援:流通させるとブランドエッジにつながるコンセプトの開発(ex.戦略PR設計/プレスリリース作成)

企画の幹は、言葉でつくる。

21年に淡路島移住と同時に立ち上げたひとり会社ホイポイプロダクションズにおいて、代理店サイドと事業部経験、また広告発想と編集視点を身につけた二刀流ライターとして現在様々な企業・ビジネスの支援を行っています。単にコピーだけではなく、そもそもの問題点抽出や課題設定から戦略➡表現定着まで一気通貫で手さばきよく対応しますので、モヤモヤした案件があればお気軽にご相談を。

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