ナラティブの時代が到来。アトリエライフの「未来予想図」をぼんやり考えてみる

さて、前回これからのニューノーマルメディアの実験場としての「アトリエライフ通信」のキックオフコンテンツを紹介した。本チャンのコンテンツに入る前に(まだ書けてないという説が濃厚であるが、編集部に問い合わせたところ「担当者が出張中でお答えできない」との回答であった・・・)私が軸足を置く広告業界の過去・現在・未来と当メディアの展望についてまとめておきたい。

口の端にのぼるブランドストーリーの時代

広告業界では2000年代後半から「戦略PR」が脚光を浴び、広告とPRを掛け合わせたアプローチが一大ブームとなった。現在ではすっかり定着し、あらゆるブランドが情報クリエイティブを作り、プレスリリースで「プロモーションキーワード」を流通させて地ならしをしてから、本チャンのキャンペーンを打つというのが基本となっている。最近だと賛否両論を生んだ「テレハラ」などが有名なところだろうか。

その流れを受けて、2010年代は広告クリエイティブに編集目線を加えていくという流れが加速し、有名どころでは博報堂ケトルなどのブティックが誕生した。同時に普及したSNSによってクチコミが可視化されるようになったため、「拡散される」ネタづくりやSNSによって育まれた「共感感性」へ訴えるアプローチに注目が集まるようになった。

しかし、徐々にソーシャルのバズと商品の売り上げにはたいして相関関係がないことが明らかとなるにつれて、SNSへの過度な期待は失われた。そして今はどうかというと「ナラティブ」と呼ばれる、口の端にのぼる物語への期待が徐々に高まってきている。単なる拡散ではなく、思わず語りたくなる解像度の高いブランド体験やブランドストーリーの享受により、受け手をブランドの当事者に巻き込んでいくアプローチだ。本筋は変わっていないが、バズのような表層的なアプローチの段階から、より本質的に進化しているといえる。

ナラティブの「ネタ帳」づくり

先日トヨタがオリンピックへのTVCM出稿を取りやめ、大会関連情報はオウンドメディア「トヨタイムズ」に掲載していくという方針を発表した。車社会の未来を見据え、TOYOTOWNのTVCFシリーズにおいて早期に世界観提示を始めていた同社は、そのファクトとしての自社活動を解像度高く提示する場として「トヨタイムズ」を設けている。これに倣い、今後各企業がTVCFは世界観提示→ファクトはオウンドメディアでという座組みにシフトしていくと思われる。このオウンドメディアのコンテンツの質は、そこから発生するナラティブの質の差を生み、企業ブランディングを大きく左右していくだろう。

ナラティブのアプローチには様々あると思うが、広告畑から編集部へ入り数々のブランドの読み物コンテンツを制作してきた自身のバックグラウンドから、記事コンテンツ基点のアプローチを主軸に考えている。現状のSEO記事まみれのオウンドメディアではなく、1コンテンツ1メッセージ型の「気づきを積み重ねる」オウンドメディアの開発により、ナラティブの「ネタ帳」を基盤整備するという方法でブランディングを行う。これから数年は、その物語クリエイティブの手法を確立し、さらにその後はその手法を軸とした地域の実事業のプロデュースにも展開していきたいと考えている。

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